2015年バルト三国・ペテルブルグ

バルト三国及びサンクトペテルブルグの屋外広告物視察研修

   
 この夏(八月十七日~二十五日)、北欧バルト三国とロシア・サンクト・ペテルブルグにて、自立広告・壁面サイン・屋上広告を中心に屋外広告物視察研修をおこなった。
 バルト三国は、二0一0年のウクライナ視察の時と同じく、旧ソ連圏であるが、こちらも広告物の量は予想以上に多く、かつ目をみはる規模のものも多く、広告状況の活発さを感じた。地震は非常に少ないが、設計および工事はしっかりしている印象である。
 まずバルト三国とは、一九九0年代にソビエト連邦より独立したリトアニア、ラトヴィア、エストニアの各共和国のことで、面積はそれぞれ日本の六分の一~九分の一、人口は130~290万人くらいだが、国土は全体的に平旦で、政治的には三国とも北大西洋条約機構(NATO)に加盟、通貨は共にユ―ロである。

 (1)リトアニア共和国       
 「日本のシンドラ―・杉原千畝(ちうね)」さんでも知られてきた国である。カウナス市にのこる旧日本公使館は今、杉原記念館として残る。第二次世界大戦中、杉原さんが発行したナチスからのがれる「命のヴィザ」によって多くのユダヤ人が生き延びた。そのなかには、(米国)シカゴ・マ-カンタイル取引所(先物取引き所)の創設者レオ・メラメド氏も居るとのことである(日経新聞2016年3月11日号)。          さて、この国での見ごたえのある広告物は、首都ヴィリニュス市郊外の、主柱をフォ―クに見立て野菜を突き刺す大型自立広告(写真①)と、カウナス市内の、赤いパジャマと黒いパイプの男の大壁面広告(②)であった。前者はインクジェットプリントと造形を組み合わせ、後者は壁面に直接スプレ―ペイントしたようすのもので、両方ともたぐいまれな独創性を感じた。自立型では縦十m×横三十mくらいの大型サイズ(③・④)も、大型壁面広告もたくさんあったが、屋上広告は少なく一つしか見えなかった。

                               【写真①】                                                  

                               【写真②】

 

                                【写真③】

 

                               【写真④】 


 (2)ラトヴィア共和国
 中世ハンザ同盟の主要都市として知られるリガでは、大聖堂の尖塔の改修工事に、なんと巨大なインクジェットシ―トの養生幕(⑤)がかかっていた。以前、他国で見た大聖堂の養生幕は単に黒の網状幕だったものだが…。また、壁面広告も多かった。

                               【画像⑤】

                               【画像⑤-2】

(3)エストニア共和国       
 この国はインタ―ネット先進国で・テレビ電話のスカイプ発祥の国であり、大相撲元大関バルト関出身の国であるが、この国でも、乗り物のラッピング(窓も許可。⑥)やインクジェットはもちろん定番である。本年はこの国の首都タリンが「2015・欧州文化首都」に指定され活況があった。印象にのこったのは、ロシアとの国境の町・ナルヴァの市町村境界標識(⑦)である。単に平板に町名を書くのでなく、立派な造形物であった。

                                【画像⑥】

                                【画像⑦】

                              【画像⑦-2】


 (4)ロシア (サンクト・ペテルブルグ )        
 エストニアからロシアへ入国する際、二時間も入管で待たされ、シェンゲン協定国とのちがいをまざまざと見せつけられたが、サンクト・ペテルブルグの中心街アレクサンドル・ネフスキ―通りの夜間の広告景観は、ビル屋根上の巨大な動画広告(⑧)や内照式の多彩なストリート・ファニチャ―(⑨)の光に満ち溢れ、西欧の都市かと見まがうばかりである。                            

                             【画像⑧】

                              【⑨】

 自立広告物は巨大というほどではないものの、ユニポ―ルにもかかわらずガッシリした構造のもの(⑩)や、ウクライナでおなじみだったユニポ―ル両持ちタイプ(⑪)や、道路をまたぐ道路占用看板(⑫)など多彩で楽しめた。広告表現手段は、固定画面のほかに、動画、スクロールタイプ、またこれはロシシア圏の特徴といっていいと思うが、三面変換ボ―ド(⑬)が実に多い。 壁面広告は少ない。

                             【写真⑩】

【写真⑪】

【写真⑪】

【写真⑫】


【写真⑫】

【写真⑬】

 サンクト・ペテルブルグ名物の運河観光船に乗り、マリインスキ―劇場にさしかかると、運河をまたぐ橋桁に広告板(⑯)がかかる。これは日本では禁止場所であろう。

【写真⑯】

(5)交通広告(駅看板)
 サンクト・ペテルブルグの「モスクワ駅」コンコ―スの壁面に、十m×二十mの巨大な壁面看板(⑭)が二面あったが、これもタ-ポリン製である。「フィンランド駅」では看板類はみかけなかった。メトロの地下深くもぐる高速のエスカレ―ターの中央分離帯には内照式の行灯広告(⑮)がズラリと続く。これはウクライナのキエフのメトロにもあったので、スラブ・ロシア圏の特徴であろう。

【写真⑭】



【写真⑮】

(6)屋外媒体社(製作会社)
リトアニアでは、BRA社、Logopro社(チェコの会社)、Valkenda社、JC Decaux社(フランス)、また珍しくClear Channel社(米国)をみかけた。
ラトヴィアでもJC Decauxは、壁面媒体やバス停広告、モリスの広告塔などで多い。
エストニアでは、Megamedia 社、Neomedia社、Artdepoo社、またこの国でもJCDecaux社に出会う。
サンクト・ペテルブルグでは、Volgobalt社、Russ社、POSTER社あたりが大手である。



(7)まとめ
・自立型は各国とも頑丈で一般に大型である。
・壁面広告はバルトで多く見かけ(写真⑰)、ペテルスブルグでは少なかった。
・逆に屋上広告はバルトに少なく、ペテルスブルグでは動画(L E D)タイプとして多い。(写真⑱)
・ストリ―ト・ファニチャ―(特に歩道の電飾自立両面型)も多い。
・デジタル・サイネ―ジも出まわっている。

【写真⑰】

【写真⑱-1】

【写真⑱-2】

【写真⑱-3】

写真⑱-3

日本との比較でいえば、
◎道路看板は、車道分離帯中央に屹立したり、車道をまたいだり、道路占用タイプが非常に多い。
◎道路占用媒体としての横断幕も非常にポピュラ―である。(写真⑲)
◎日本では一時流行ったがその後はそうでもない「三面変換ボード」が多い。
◎広告面素材では鋼板やアルミ複合板とともに、タ―ポリンが実に多く、ペテルスブルグ(モスクワ駅前広場)では屋上広告にタ―ポリンをじかにかぶせた実例があった。(写真⑳)
いずれにせよ、多彩な広告物を楽しめた視察であった。

【写真⑲】

【写真⑲-2】


【写真⑳】