2000年USAサイン研修

巨大で人を魅了する広告

 ~ドットコム企業が屋外へ出稿~

新素材、システムのノウハウ

 ビルボードはターポリン、ウォールスケイプはメッシュ系ビニール素材にインクジェットプリンしたものが主流。
デザインにより素材は使い分けられ、耐久性はもちろん再はく離系の開発が進む。
塩ビよりもペイントに規制がある。
だが、ハンドペイントも健在だ(イラー社)。

 電飾画面はFF中心。
デジタル出力機はインクジェット系、転写系を問わず高質化(ヌール、サルサ、ビューテック、マタン、MMT社大型ドラム機など)。
製造機(ターボのベンダーなど)、ネオン(グランド・フォルト・プロテクションシリーズ)、動画ディスプレイ(ビデオ、LED)など周辺ハード機材、新商品も目白押しである。
屋外独自のマーケティング手法、費用対効果(CPM)、流動調査(TAB)などのデータ蓄積も担当あるようすで、屋外広告専門の調査会社もある(PRS社)。

 

スペース利用の方法と考え方

 自立式看板はオンプリミス(自家看板)ではないかぎり大型で、数種類に定型化されている(ブルティン、30シート、8シート、スクエア等)。
ただし全米で四万基といわれるビルボードは今や数量規制を受け増えにくい。
その分ビルボード以外に活路を求め、その総称がアウト・オブ・ホーム(OOH)である。
路上(バスシェルター、テレホンキヨスク)、バスラップ、トラック車体(有料媒体として)の定番媒体のほか、モールミュラルス(モール内空きテナントの壁内外)、エアポートラップ(空港ビルの壁や床)、工事現場囲い、空きカベ(ワイルドポスター)、屋上給水塔、ガソリン給油口など「利用できるものはなんでも」(A・マクドナルド女史)である。
エアーアド(セスナーでバナーを引っ張る)も見た。
電柱、ビルの袖看板はなく屋上広告塔も少ない(ボードはある)。
だが、OOHの圧巻は何と言っても巨大建築物の壁面広告。
西欧中世のフレスコ画以来の伝統であろう。
なお、空き媒体を代理店が抱える考え方はないようだ。


屋外広告への掲出業種

 風俗以外なんでもあるが、中心はやはり大衆大量消費社会型の産業・企業である。
自動車、衣料、化粧品、食品・ドリンク、メディア(通信・放送)、保険など。
特筆すべきはドットコム企業の掲出量の多さ。
彼らはタバコの屋外広告禁止(99年4月)によって生じたスペース(特にビルボード)の多くを埋め、売上げの30%を広告費に使い、昨年一年だけで掲出料相場を5倍に高騰させた。
この傾向は、一巡するまであと2~3年は続く予想だ。
日本企業の掲出はかなり減り、日産は健闘の印象(新会社ルノーが北米に販売網をもたないためか)。
ソニー、トヨタなども抑えている感じ。
韓国企業はサムソンに続く企業が出てきた。
また、中華人民共和国初のタイムズスクエア広告も登場した(三九◯◯)。
古くからのビーフイーター、マクスウェルハウス等も健在で、タイムズスクエアのマリオットホテル壁面にミスター・ピーナツが復活した。

屋外のエンターテインメント性

 とにかく魅せる広告が多い。
まずビルボード(特にブルティン)は、その巨大さ自体で人を魅了。
JALサンセットストリップのタテ型ボードはブルティンより巨大(ビールのミラー)。
サンタモニカ通りのブルティン群は、モンスターの行進の如き異様さだ。
ラスベガスのテーマホテル群は、建物それ自体が広告表現である上に、個々の屋外装飾塔(入口看板)は大型動画、照明・電飾を総動員した造形物そのもの。
NYタイムズスクエアも、広告物はいかに人の目を引きつけるかの創意工夫に満ちあふれている。
三次元の利用、ストーリー性ある動きの導入、夜間路上への広告投影、人目もあざむく巨大壁面LEDの投入(ナスダック)など、意匠表現や仕掛けも最先端。
テレビCMが30秒70語で表現する内容を屋外は10秒7語で表現しなければならない。
無駄を省きシンプルに凝縮、人に魅せねばならない。
屋外広告のエンターテインメント性はそこにあり、米国で好例を見ることができた。